意味 |
宅地建物取引士の登録を受けている者について一定の事情が発生した場合に、都道府県知事が宅地建物取引士の登録を消除すること。宅地建物取引士資格試験の合格者が、宅地建物取引士として業務に従事するためには、その前提条件として都道府県知事より宅地建物取引士の登録を受けることが必要である(宅地建物取引業法第22条の2第1項、第18条第1項)。この登録を受けた場合には、氏名、住所等の一定の事項が宅地建物取引士資格登録簿に登載される(法第18条第2項)。このような宅地建物取引士の登録を受けた者について一定の事情が発生した場合には、届出により、または知事の職権により、宅地建物取引士の登録が消除される(法第22条、法第68条の2)。その場合には、再び登録を受けない限り、宅地建物取引士として業務に従事することはできない(法第22条の2により、登録がない者は宅地建物取引士証の交付を受けることができないため)。登録が消除されるのは次の場合である。1.本人から登録の消除の申請があったとき(法第22条第1号)宅地建物取引士の登録は一度登録すれば生涯にわたり有効であるが、本人の意思により登録を消除することも可能である。2.法第21条の届出(死亡等の届出)があったとき(法第22条第2号)死亡等の届出が提出された場合、知事はその届出に基づいて登録を消除しなければならない(詳しくは死亡等の届出へ)。3.死亡したとき死亡の事実が判明したときは、都道府県知事は職権により登録を消除しなければならない。本来は、相続人が上記2.の「死亡等の届出」(法第21条)を提出すべきであるが、この届出がない場合であっても、知事は職権により登録を消除しなければならない(法第22条第3号)。4.死亡以外の理由で、法第21条の届出(死亡等の届出)を提出すべき事由が発生したとき(法第22条第3号、法第68条の2第1項第1号、法第68条の2第2項第1号)死亡以外の理由で「死亡等の届出」を提出すべき事由が発生した場合(すなわち法第18条第1項第1号から第5号の2までの登録の欠格事由が生じた場合)については、上記3.と同様の扱いである。従って、知事に対してその旨の届出が提出されないときでも、知事は職権により登録を消除しなければならない。(登録の欠格事由について詳しくは宅地建物取引士の登録の基準へ)5.宅地建物取引士資格試験の合格が取消されたとき(法第22条第4号、法第17条第1項、第2項)6.不正の手段により宅地建物取引士の登録を受けたとき(法第68条の2第1項第2号、第2項第2号)7.不正の手段により宅地建物取引士証の交付を受けたとき(法第68条の2第1項第3号)8.法第68条第1項各号の事由(指示処分の対象となる事由)に違反し、特に情状が重いとき(法第68条の2第1項第4号)9.法第68条第2項・第4項にもとづく事務の禁止の処分を受けて、その事務の禁止の処分に違反したとき(法第68条の2第1項第4号)10.宅地建物取引士証の交付を受けていない者が、宅地建物取引士としてすべき事務を行ない、情状が特に重いとき(法第68条の2第2項第3号)上記5.から10.までの場合には、知事は職権により登録を消除しなければならない。また上記6.から10.までは、宅地建物取引士としての不正行為・不当行為(法第68条第1項第2号、第3号、第4号)などがあったことに由来する知事の監督処分である。このような意味で、6.から10.までの登録消除を、特に「登録消除処分」と呼ぶことがある。 |